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| ■■ ミャンマー通信:ミャン坊マー坊天気予報:第5号 ■■ |
「ウ・ポンウェイという男」
地球市民の会は2ヶ月に一回、10日間の泊り込みの農民研修を開催しています。主な 内容は収奪型の農業から循環型の農業への転換の理論と技術と考え方の講義と実習で す。毎回定員を15名としており、地球市民の会が引き継いでからすでに5回、カラモ ジア時代も入れると24回を終了したことになり、約350人の修了者がいることになり ます。
現在、私の仕事はこの研修の企画運営と考え方、つまり理念を伝える講義を担当して おります。しかしそれだけではここまで続けていくことは不可能です。何より理論と 技術を伝える講師がいなければうまく行きません。この農民研修の継続にはこの講師 を一手に引き受けてくれているウ・ポンウェイさん(46歳)の存在なくして語られませ ん。彼は、この10日間の研修の講師を無償のボランティアで引き受けてくれていま す。
ポンウェイさんは7エーカー(28反)の農地をシャン州に、ヤンゴン近郊に10エー カー(40反)の農地を持つ農民です。彼はミャンマーでは成功した農民の一人ではあり ますが、初めから農民ではなかったのです。彼は20代の時、自動車の会社で働きたい と日本に渡り、日本語の学校を経て千葉県の成田近郊で自動車修理工として働いてい ました。しかし、日本の生活は低賃金で働く貧しいミャンマーからの青年には厳しい 日々だったそうです。そんなある日、成田のホテルの展望台から見た、まだ開かれて いない千葉に広がる美しい日本の田園風景に魅了されたということです。この美しく 整然と並ぶ農地はミャンマーには見られない。これがもしミャンマーでできるのなら ば、前近代的な農業しか知らない多くのミャンマー人が幸せになれるだろう、と思い 立ちミャンマーに帰って農業をする決意をしたといいます。彼はその後ミャンマーに 戻り、カラモジアが指導する土着菌農業の研修を受け、それを実践することで、今の 成功した農業経営者となったのです。ミャンマーにおける循環型農業の先駆者でもあ るわけです。
ところが、今回の研修ではポンウェイ氏に大きな難問が襲い掛かっていました。ここ ミャンマーでも異常気象のため大洪水が起こり、彼のヤンゴン近郊の10エーカーの耕 作地が水に浸かってしまい、米は全滅したというのです。そんなときに研修の講師な どしている場合ではありません。それでも彼は10日間の研修の講師をするというので す。
「ポンウェイさん、農園を離れていても大丈夫ですか?」と尋ねる私に「ワーカーも いますし大丈夫ですよ。それに、ミャンマーの同じ農民に新しいことを教えるのは楽 しいですから。」と答えました。「楽しいだけではご飯は食べられません。本当に迷 惑ではないのですか」と訊く私に、「大野さん、あなたは日本人なのにミャンマーの ために働いています。ミャンマー人の私がただ見ていることは、私は恥ずかしくって 出来ません。」と答えました。黙って聞いている私になおもポンウェイさんは続けま す。「私はミャンマーのために講師をやっています。新しい知識を持ったミャンマー の農民が増えるのですから、私の農園のことよりももっと嬉しいことなのです。どう か大野さん、私の農園のことを気にするのはやめてください。」
有難いことに、私たち地球市民の会の事業はこのような人に支えられているのです。 だからこそ、次回の講習はもっと内容の良いものにしなくてはならないと強く心に 思って、私は仕事を続けていくことができるのです。
今日の天気:日本と同じの異常気象のミャンマーで、大雨にずぶぬれになりながら心 晴れやかな私であります。(感動で泣きそうになりましたが、日本から泣き虫大野と いうメールが増えましたので、こらえました。)
大野 拝 (第5回 了)
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