■■ ミャンマー通信:ミャン坊マー坊天気予報:第26回 ■■


日本はお盆休みですね。皆さんいいお休みをお過ごしですか?私といえば8月は休み
が1日しか取れません。日本からのお客さんもたくさん来るからです。ですが、日本
の人に私の活動する地域をご案内させていただくのは私の喜びでもあるので頑張って
まいります。

「あぁ勘違い」

ただいま、養豚銀行というプロジェクトを佐賀JAの支援で行っています。この事業は
畑で作物を作るだけではいつまでも貧困なままの農民に、養豚を行う複合農業に移行
し、今の貧困状態から脱し、尚且つ循環型農業を行うための足がかりにするために行
う事業です。戦後の日本の農家は皆そうだったと聞いています。

内容は子豚を2頭ずつ農家に貸し与え、農家は1年後肥育した豚を販売し、村のコミ
ティに3頭分の豚代を返済、2頭の子豚を新たに購入するという事業です。コミティ
はあらたな3頭のうち2頭分は新たな農家に貸し与え、1頭分は村を自分たちで開発
するための基金に繰り入れることで、村民の貧困からの脱出、自立的な村落開発(地
域おこし)を目的とします。なかなか、よく考えられたプログラムです。

ところが、今私たちが活動している地域ではなかなかこの事業を受け入れてもらえま
せん。本年度は5か村の村を募集しているのですが、村で説明してもいまひとつ乗っ
てこないのです。多くの村が「養豚よりも牛が飼いたい」というのがその理由です。
どうして豚を飼うのがイヤなんですか、と尋ねたところ、多くの村が「豚は飼った事
がないし、村のお坊さんが買ってはダメだといっているから」と答えます。お坊さん
がダメだといっているというのは、その地域の宗教的習慣に根付いたもので、外部か
らの異邦人、つまり私がそこで無理に事業を進めても成功しません。それどころか、
地域から嫌われて活動できなくなる可能性もあります。「仏教を大切にしているポ
オー族ですから、豚を飼い、それを売る、つまり殺す事を目的とした殺生をお坊さん
は許さないのだろう。牛は生活を共にするのでよいのだろう」と私は考えていたので
す。

そんなあるとき、牛銀行のニーズを聞きそれについて村人と話をしていました。牛は
何年生きていますか?15年から20年位かな。その間ずっと働くんですか?5年ぐ
らいしか働かんよ。だったらそのあとはただ飼っているんですか?いや、売ってしま
うよ。えっ、売った牛はどうなるんですか?食べる人がいるからね。私はこの話をし
た後「ちょっと待ってよ、それって豚を売るのとどう違うの?」と疑問が湧きまし
た。よくよく村の人から聞きだすと、お坊さんが言う豚を買ってはいけない別の理由
があったのです。

村のお坊さんは村人の尊敬を一身に受けています。村長よりも権威と発言に重みがあ
ります。村にトラブルが発生した際最終的な解決はお坊さんが行うのです。豚を飼う
と糞尿のにおい、蝿の発生、病気の発生などにより近隣の家とトラブルが発生しま
す。そのトラブルが起こらないように昔からの習慣でお坊さんによる豚を買ってはい
けないという指導、慣習法が村にあったのです。なんという「あぁ勘違い」なので
しょう。私は宗教的タブーだと思っていましたがそうではなかったのです。先入観だ
けで決め付けてしまう危険性と、じっくり時間をかけた対話をして話の本質を見極め
る重要性を改めて実感しました。

これで、この事業の光明が見えてきました。私は説得の方法を変えました。ダメなの
は問答無用にダメなのではなく、ダメな理由があったのです。だとするとそのダメで
ある原因を除去し、村人が受け入れやすい形に提案し、この事業がどれほど村のため
に役に立つのか説明し、熱い思いをぶつけ、村人のやる気を揺り動かしてやればいい
のです。すると、すぐに効果が出てきて、すでに2村が実施を行う契約を交わし、希
望する村が5村に増え、まだまだでてきそうです。たくさんの村で役立つことができ
ます。協力者のJA佐賀さんにも喜んでもらえそうです。ただ、これで私の仕事が忙し
くなってしまいますが。(了)

こちらに来て1年が過ぎました。あっという間ですが、ミャン通を25号出せまし
た。これも嫌がらずお付き合いいただいた皆様のお陰でございます。有難うございま
す。任期は後どれぐらいあるか判りませんが、ミャンマーにいる間はネタが尽きるま
でだしていこうと思います。これからもよろしくお願いします。


大野  拝




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