■■ ミャンマー通信:ミャン坊マー坊天気予報:第25回 ■■


ミャンマー南シャン州では雨不足で農民が嘆いています。地球市民の会の農業研修セ
ンターも陸稲が作付けできませんでした。
今回のミャン通は久しぶりに仕事ネタです。

「お前ってやつは…」

地球市民の会福岡が取り組むチャウタロン奨学金が今年も、地球市民の会福岡の皆さ
んに力を合わせて集めていただいた結果、26名の学生に授与されることになりまし
た。この奨学金はチャウタロン高校の9年生、10年生つまり、高校生に貸与されるも
のです。チャウタロン地域は貧しい地域です。ですので貧しさのために進学できない
子供がたくさんいます。8年生終了時(中学卒業時)にはクラスの2分の一が貧困の
ために進学できません。進学できない子供は村で農業をするしかないのです。日本の
昭和25年前後の農村部とよく似た状況ではないでしょうか。

高校を卒業しても大学にいける可能性は少ないですし、村部では就職先もないので、
無理に進学する必要はありません。しかし、親は子供に進学させたい気持ちはとても
強くあります。高校を卒業するということはただ単に高等教育を受けたということだ
けではなく、人間的な成長がなされ、仏様の教えをより理解できるようになったと考
えているからです。「お金持ちになるため、食べるのに困らないため」子供の進学を
願った高度成長期の日本人ではなく「世の役に立つ人になるため」教育を受けさせた
いと考えた明治期の日本人のメンタリティがそこにあると感じるのは私の感傷的な印
象に過ぎないでしょうか。

さて、先日村に行き今年の奨学生についての調査を行いました。その中で貸与が決
まった一人の女子学生が学校へ来ていないということが判明しました。その理由を奨
学金委員会のメンバーに尋ねたら、彼女の家は貧しいので奨学金の現金を手にしない
と学校に来れないのです。まだお金を渡していないので、彼女は家から歩いて1日以
上かかる畑に行ったきり帰ってきません、という回答でした。そして、委員会から奨
学金貸与者を代えようという提案がありました。「彼女が進学希望があるのならば、
そういう彼女のために奨学金があるのではないですか」と話す私に対して「彼女は中
学校も学校の先生のサポートで通いました。もし彼女が卒業しても奨学金を返すこと
はできないでしょう。それはまた、彼女を苦しめることになるのです。ですから、彼
女に貸与しないほうがいいと考えるのです。」この奨学金が返済義務があることが規
則になっているので、そういわれると返す言葉もありません。やりきれない気持ちに
なりながらも「この奨学金は皆さん自身で運営していただくものですから、皆さんの
決定のとおりで結構です」と答えました。

そして代わりの女の子として「Aさん」という女の子を推薦すると委員会メンバーは
言いました。彼女は非常にまじめに学校に来ており、学校ではいろんな手伝いを誰よ
りもしている。それに家も貧しい。だから彼女がいいというのです。私も、そのよう
な学生ならいいのではないかと思い、彼女に会いに行きました。委員会の人が彼女の
クラスに行き、彼女を呼び出し説明をしました。そると彼女はどこからか女の子を連
れてきました。そして「私の家は何とか親が私をサポートしてくれています。でも、
この子は貧しいので本当に困っています。どうか彼女に奨学金をあげて欲しい」とい
いました。委員会の人は、そう言うAさんの親も親戚からお金を借りてなんとか学校
に行かしていて、そのことは彼女も知っているはずです、と私に説明してくれまし
た。

もし日本ならばどうだろう、自分だったらどうだろう、と考えました。「やったぁ、
ラッキー」などといいながら、自分よりも困難な人がいるということなども想像もせ
ず、ましてやその権利を人に譲ろうだなんてことは私には出来ないのではないかと、
自動車を運転していて割り込まれただけでも「ムッ」とする自分を思い返しながらそ
う思いました。そして、Aという女の子を見つめながら「お前ってやつは…」と妙に
感動していたのでした。(了)


大野  拝




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