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| ■■ ミャンマー通信:ミャン坊マー坊天気予報:第23回 ■■ |
皆さん、うちの家族は本当にいろんな経験をします。連れ合いに言わすと、『普通 の生活は出来ないの』です。今回はこんな事が起きてしまいました。
「大野家危機一髪」
私の連れ合いの妹、つまり私の義妹が5月の中ごろにタウンジーまで遊びに来まし た。彼女の帰国は週末だから折角なので家族で送っていこう、という事になりヤンゴ ンまで行きました。ところが、着いた金曜日に1歳の息子がいきなり39度程度の発 熱をし、外人用の救急病院に行ったところ、月曜日に再検査をする事になりました。 そのため日曜日に帰るのが火曜日に伸びてしまいました。
そして火曜日、息子は結局大したこともなく当初の予定よりも2日遅れて飛行機でバ ガン、マンダレー経由で帰ることになりました。ミャンマーの国内線はそのほとんど が羽根にそれぞれ一基ずつエンジンを搭載した双発のプロペラ機です。乗っていた航 空会社はエアマンダレー。今まで事故を起こした事がないという触れ込みの会社で す。その触れ込み通り飛行機はマンダレーまで予定通りの快適な飛行を続けました。 しかし、マンダレーを飛び立ったときに事件は起きました。私の席は丁度プロペラの 真横でした。何か飛行機の外でカタカタ音がしているなと思ったらなんとプロペラが ゆっくり回っているのです。エンジンが止まって、風の影響で風車のようにくるんく るんとゆっくり回っているだけです。機体もどこかしら傾いている。「!!!」私は これはヤバイと思いました。頭の中でどう考えても、飛行中にエンジンが止まってい るというのは尋常ではありません。直ぐにアメリカ映画の影響か、「エンジン止まっ た不時着だ」と考えてしまいます。しかし、飛行機は少し傾きつつも安定は保ってい る。どうも非常事態だが何とかなっている、そういえば、片肺飛行で無事帰還、なん てニュースや映画も見た事がある、これは何とかなるんではないだろうか、と考え少 し冷静になりました。その時、はたとこの事態を連れ合いに伝えるか考えました。普 通の主婦が想像もしなかったアジアの辺境に連れてこられ、おまけに飛行機事故の危 機に直面している。5歳の娘と1歳の息子も乗っている。伝えると彼女はパニックに なるのではないかという心配でした。その頃、機内で「目的地のへーホー空港は霧に よる視界不良によりマンダレー空港に一旦戻り、様子を見て再度出発します、ご迷惑 をおかけして申し訳ありません」という放送が入りました。多くの乗客もまだプロペ ラの異変には気付いていないし、パイロットも緊急の手を打っているのだろう、これ はしばらく連れ合いには言わないほうがいいと思いました。その時です、この飛行機 に同乗していた日本人ツアーのおばさんが、「プロペラおかしいんじゃない、飛行機 大丈夫なの!!」と叫びました。当然その声は連れ合いの耳にも入りました。私は 「ありゃぁ、言っちゃったよ」と内心思いながらも冷静を装って、「さっきからプロ ペラがおかしいんだよ。でもマンダレーに帰るって放送があったから大丈夫だと思う よ」と話したら、私の心配もなんのその、連れ合いは「ふ〜ん」とあっさり答えたき り質問をしません。パニックなど起こらず冷静なものです。私はなんとなく安心はし たのですが、あまりの危機感の無さに逆に心配になりました。飛行機は無事マンダ レー空港に戻り着陸態勢に入りました。エンジンが片方止まっているのだから安定を 取るのは難しいだろうし、飛行機事故のほとんどが離発着時だという話も知っていた のでいよいよ緊張の時なのですが、連れ合いには緊張の雰囲気がありません。ですの で、私は「衝撃に備えんば!子どもば押えて!」と注意しなければなりませんでし た。
飛行機は無事にマンダレーに到着しました。事故には至らなかったですが、飛行中に エンジンが止まるという事は良く起こることなのかどうか知りませんし、それから起 こる事故がどれぐらいの確率か知りませんが、私の感覚は墜落していても不思議じゃ なかったよね、というものでした。飛行場に到着したときほかの日本人乗客が、 「あぁ怖かった、良かった無事で」と安堵のため息をついていました。大野家危機一 髪を脱した瞬間でした。
私は飛行機から降りてから連れ合いに「ずっと飛行機がおかしいのを知っていたけ ど、心配するかなと思ってしゃべらなかったんだ。だけど、あんまりあっさりしてい たので安心したよ」と話したら「死ぬときは死ぬと決まっているし、子どもも貴方も 一緒だったからね」と答えました。私はあっけにとられ「お前も成長したね」と言う と、「私もミャンマーに来て強くなったかな」と返されました。あなたには参りまし た。(了)
今回も長くてすみません。これでも最初の原稿を3分の2まで削ったのですが。文才が ないのを切に感じております。次回は佐賀新聞の6月1日に掲載された私の文章とリン クした「ささやかな幸せ」をお送りします。是非、佐賀新聞を併せてお読みくださ い。佐賀新聞社のホームページから見る事が出来ます。新聞社のデーターベースは普 通は有料ですが、なんと佐賀新聞は無料です。アクセスするためのコードは毎日の新 聞に出ていますし、新聞社に問い合わせれば教えてくれます。さすがは佐賀新聞!!
大野 拝
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