|
| ■■ ミャンマー通信:ミャン坊マー坊天気予報:第21回 ■■ |
ヤンゴンのテロ爆破事件のニュースがバンコク配信で日本にも届いたようです。こち らでは一切情報はありません。どんなニュースでしょう?背景は今回のミャン通と通 じるところがあると思います。こちらタウンジーでは何等問題は起きず日々平和では ありますが・・・
「ムイケイちゃん」
地球市民の会のタウンジー事務所は現在11名の現地人スタッフを雇用しています。プ ロジェクトが進むと17名になる予定です。さて、その中にミャンマー語、英語、日本 語の翻訳をする事務員にムイケイという女の子がいました。彼女は大学生でしたので 常勤ではなく、学校に行かない時間に働く勤労学生でした。
彼女はミャンマー通信によく出てくるエイエイ先生の弟子のような女の子です。こち らが給料を払っているので気を使う必要はないのですが、仕事を頼む時は彼女が学生 さんでしたから、「忙しくない?大丈夫?」とつい声を掛けていました。その度に 「大野さん、学校が忙しいのは学生だから当たり前です。私は学生だから勉強をしま すが、勉強は自分のために時間を使っています。それ以外に大野さんの仕事をするこ とで他の人々の役に立てることはとても嬉しいのです。私はがんばりたいのです」と いつも答えていました。でも学生が勉強以外のことに時間を使ってて村のお父さんは 怒らない?と尋ねる私に「勉強だけしていたら、きっとその方がお父さんから怒られ ます。」と答えました。道徳心篤い厳格な両親に育てられたのだな、と思ったもので した。そんな彼女が今年の3月に優秀な成績で大学を卒業し、生まれ故郷の村に帰る こととなりました。
私はムイケイに帰って何をするか尋ねました。彼女はシャン族でした。「帰ったら シャンの子供にシャン語を教えます」と答えました。シャン族には自治組織が幾つか ありますが、彼女のお父さんはその中の一つのグループのリーダーです。自分の民族 の平和と繁栄のために働くお父さんの手伝いをするために村に帰って、シャン族の子 供のために働くというのです。ミャンマーは135の民族国家といわれていますが、 学校などでは公用語のミャンマー語を使っているので、民族の誇りと文化を失わない ために各民族は学校の無い休みの期間に自分達の言語の勉強を子供たちにさせていま す。ムイケイの部族もそうだったのです。
そうしてムイケイは地球市民の会を退職し、翌日の朝早いバスで笑顔で村に帰ってい きました。それから10日もしない間に、とんでもない知らせに耳を疑いました。彼女 の家族が行方不明になったというのです。家の中のものもそのままに、家族で逃げた というのです。一体どうしたことでしょう。
現在、国民会議というのがミャンマーで行われています。これは、135の民族がお互 いに助け合いこの国を良くするために各民族のリーダーがみんなで話し合いをしよう と政府が開催したものです。この国民会議開催に反対した強硬グループがシャン州に 幾つかあり、そのグループが政府から摘発され、逮捕されました。ムイケイのお父さ んはこの動きに同調はしていませんでしたが、国民会議には出席していなかったそう です。確かな話ではありませんが、政府から逮捕され一家離散の憂き目に遭わないた めに森に逃げたのではないか、というのが一般的な推測です。平和協定を結ぶ前に逆 戻りの生活です。
日本では絶対に想像できないようなことが日常のように起こり、だからと言って特に ニュースにもならず、第三者は普通の生活を続けているのです。つい最近までにこに こ笑って仕事をし、私の子供を本当に可愛がってくれたムイケイが突然、電気などの 文化的なものがないであろう森の中で人目を忍んで生活していると思うと、切ない気 持ちになってしまいます。この国の内政のことは私には何も言うことはできません が、私達とつながりのあった女の子が、一日も早く苦しみから開放され、前のような 普通の生活ができることを願ってやみません。(了)
今回は少し長く、またしんみりした内容でしたので、次回は明るいお話をお送りした いと思っています。
大野 拝
|
|